『最上のわざ』
この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり
働きたいけれども休み
しゃべリたいけれども黙り
失望しそうなときに希望し
従順に、平静に、おのれの十字架をになう・・・。
若者が、元気いつばいで神の道をあゆむのを見ても、ねたまず
ひとのために働くよりも、謙虚に人の世話になり
弱って、もはや人のために役だたずとも
親切で柔和であること・・・。
老いの重荷は神の賜物。
古びた心に、これで最後のみがきをかける。
まことのふるさとへ行くために・・・。
おのれをこの世につなぐくさりを少しずつはずしていくのは
真にえらい仕事。
こうして何もできなくなれば
それを謙虚に承諾するのだ。
神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。
それは祈りだ・・・。
手は何もできない。けれど最後まで合掌できる。
愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために・・・。
すベてをなし終えたら、
臨終の床に神の声をきくだろう。
「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と・・・。
ヘルマン・ホイヴェルス「人生の秋に」 (春秋社) より